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2018年9月3日月曜日

『橋本式国語勉強法』(橋本武 箸、岩波ジュニア新書)

「何が秀才であり凡才なのでしょうか。私は、自分に忠実な生き方のできる人が秀才であり、自分を粗末に扱う人が凡才だと思っています。人間には、なんといっても能力において大なり小なり差のあることは認めざるを得ません。ところが、生まれつきの能力の高さに安心して、努力なしに、たとえば学業成績を上げていても、それはその時だけのもので、長い人生を支える力にならないはずです。これは親譲りの財産の売り食いのようなもので、必ず支えの尽きる時がきます。」
「学業成績はビリの方でも、それが自分の最善の努力によるものなら、その人は、その時自分の置かれた立場において、最善の努力を払うことができるでしょう。人間、普通の能力のさえもっておれば、この努力によって自分を高めていくことができます。学業において効果の上がらなかった努力も、会社経営に素晴らしい効果を上げることができるかもしれません。」
「ですから、学業成績が良くても悪くても、安心もできなければ悲観するにも当たりません。自分を高めるための努力を忘れさえしなければ、あなたの前途は洋々として期して待つべきものがあるでしょう。」

50年にわたり、かの灘高校で教鞭をとられていた著者の言葉だけに重い。

最近、自らの仕事に無力感を感じていたが、力をもらった。少なくとも、ここでいう「努力」のサポート役に徹したいと思う。

2017年6月19日月曜日

『応仁の乱』を読んで

中公新書、呉座勇一箸
新書で異例の売り上げということで、読んでみました。
中公新書ということで、少し身構えましたが、
そこは、仮にも史学科卒ですから、かつては中公新書はおろか岩波新書、果ては吉川弘文館の専門書まで読みこなした私ですから、すらすら読めるはず…
ところが、読んでも読んでも終わらない。しかも、「登場人物」の余りの多さに辟易もしながら、わずか300ページ足らずの本にずいぶん手間取りました。

それはともかくとして、内容はというと、「畿内の火薬庫」である大和の興福寺の経覚と尋尊の目からみた、応仁の乱の原因、経過、結果を描きながら、応仁の乱の再評価を試みている。

高校日本史からみれば、奈良時代以降歴史の舞台に登らない奈良を中心に、応仁の乱をとらえていることが新鮮であるのと、関ヶ原の戦いのように対立関係が明快でない応仁の乱の人間関係を事細かに論じている点で、日本史の得意な高校生には興味深く読めるのでなないだろうか。

Minamoto no Yoritomo.jpgなお、尋尊といえば、「大乗院寺社雑事記」の著者であり、高校の日本史では山城の国一揆の史料として教科書にも取り上げられています。

ところで、今回改めて日本史の高校の教科書をみたのであるが、人物の肖像画、人物の写真がほぼ消えたことに、いまさらながらびっくり、我々世代にとってはなじみ深い、右の源頼朝や足利尊氏の肖像画についてはずいぶん前から指摘があって、教科書から消えているとのこと。だからと言って、何から何まで消えなくても、やはり人物は顔がないとその時代のイメージがわかないというか、
覚えにくいとは思う。誰と特定はしないまでも、その時代の
人物のイメージとして、教科書に登場させてほしいものである。

2016年12月13日火曜日

『勉強の技術』(児玉光雄 著、サイエンスアイ新書』

たまたま、本屋で横積みされていたので、購入し読みました。
著者はスポーツの分野でのコーチングの著書、勉強方法についての多数の書を著しており、
効率的な勉強方法を科学的に分析しています。

その内容は、われわれが経験則で(決して科学的ではない)把握して、生徒にも指導している内容に通ずるものもあり、それに科学的根拠を与えてくれるもので、興味深く読めました。

その中から一部を紹介すると

「睡眠時間を削れば、物理的に勉強時間を確保することはできますが、肝心の脳の状態が芳しくないため、勉強の能率が上がらず、・・・勉強ははかどりません。・・・無駄と思える時間を徹底的に排除しましょう。」
「一夜漬けに代表されるような集中学習は、一気に記憶する反動として記憶が不安定なのです。毎日コツコツ勉強する人のほうが、明らかに豊富な知識を身に付けられるのです」

やはり、定期試験前に一気に勉強して、寝不足なまま試験に臨み、何とか赤点を回避するような勉強をしている人は結局は受験には勝てない。

ましてや、教務力のなさを課題の多さでカバーしているような塾に通って、深夜まで塾の課題に追われているような、生徒は愚の骨頂と言わざるをえない。

また、この本の紹介は次回に譲ります。

2016年5月26日木曜日

『大放言』(百田 尚樹 著)

 サミットの開催、オバマ大統領の広島訪問、沖縄の暴行事件と国際的に落ち着かないニュースを断続的に聞く今日この頃です。

 で、そういった問題にもスパッと切り込んであるのが、この著書です。別に今を狙ったわけではないのでしょうが・・・(発行は昨年です)

以下、気になったフレーズを引用します。

戦争のない世界は理想である。私たちはそれを目指していかなければならない。しかし、残念なことに、口で「平和」を唱えるだけでは戦争は止められない。世界と日本に必要なのは、戦争を起こさせない「力」である。力のない正義は無能である。

極東軍事裁判で・・・被告全員に無罪を主張したインドの・・・パル判事はアメリカを批判して厳しい口調で言った。「これを投下したところの国から、、真実味のある心からの懺悔の言葉をいまだに聞いたことがない。(中略)罪のない老人やこどもや婦人を幾万人、幾十万人、殺してもいいというのだろうか。われわれはこうした手合いで、ふたたび人道や平和について語り合いたくはない」この言葉には綺麗事ではない真実がある。これこそ、私たち日本人が忘れてはいけない気持ちではないだろうか。

事の是非はともかくとして、物事の見方の一つとして、高校生にもぜひ読んでほしい本である。もちろん本屋でお金を出して・・・

ついでに勉強に関しても「大放言」

要するに、自己啓発コレクターは、毛生え薬をはしごするハゲと同じなのだ。「今度こそ効くに違いない!」「この本こそ、自分を成功に導いてくれるはずだ!」と期待を込めて買うのだが、期待したほどの効果は現れず、「もっと効く本があるはずだ」と、新しい本を探すというわけだ。

「やればできる」という言葉は、「やればできた」者が言う言葉だと思う。過去に頑張った結果、あることを達成した経験のある者がだけが口にできる言葉なのだ。・・・世の親や教師に言いたい。何もやったことのない子に「やればできる」というのはやめようではないか。彼らに言うべきことは「やらないのは、できないのと同じだ」という言葉だと思う。もうこれ以上、日本にバカを増やしてほしくない。

2016年5月23日月曜日

『太陽の塔』(森見登美彦 著)

表題の「太陽の塔」は言うまでもなく、大阪にある「太陽の塔」である。しかし、物語の舞台はその近くにある大学ではなく、京都大学である。

その京大生の主人公が失恋して、立ち直る(あるいは開き直る?)までの話を、「街を怪物が闊歩している…クリスマスという怪物が…。」など、大げさな、けど知的な、時として笑えるような比喩で綴った小説である。

「京都の女子大生は京大生が奪って行く」という都市伝説に真剣に(?)取り組んだ作品とも言える。

読みやすさ(読みやすい。一気に読める)


感情移入度(多数の男子は感情移入ができる)

2016年5月18日水曜日

『山月記』より

印象に残った一節を
「己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざることことを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。」

勉強にも通ずる話で、大して学力もないのに、それを人から指摘される、あるいはそれを自ら認めるのが怖く、人から教えを請わず、ただ、自己満足のみに浸っている高校生がいかに多いことか。

そんなことだから、人を介さない、さして効果のないような映像授業に走ってしまうのだろう。

この国はどこへ向かっていくのだろうか・・・

未来からきた本

なんと平成44年発行!それまで生きているだろうか?
天下の新潮文庫でもこんなことがあるんだ・・・

それはともかく、本の紹介。
『山月記・李陵』(中島敦 著)

中国の古典から題材をとった、4作品。有名な「山月記」や漢文で登場する司馬遷や孔子、子路などの人物像が浮かび上がるような作品もある。ただ、注釈が多く、漢文もたびたび出てきて、少々読みづらいかもしれない。けれど、退屈なわけでなく、深みのある作品ばかりである。

読みやすさ(読みにくい、なかなか進まない)
感情移入度(漢文でなじみのある人物の描写は多少興味深いかもしれない)




2016年5月2日月曜日

『博士の愛した数式』(小川洋子 著)

交通事故により記憶障害となった元数学研究家の「博士」と、家政婦とその息子の「ルート」との温かい交流を描いた作品。

会話の端々にでてくる数字にまつわる話は数学嫌いな高校生でもきっと興味深いと思われるが、もう一つ出てくるプロ野球(阪神)の話は今一つピンと来ない高校生も多いかもしれない。

第1回本屋大賞を受賞した作品で映画化もされている。

以下、いずれも「博士」の会話の中から、気になったフレーズを抜粋。(カッコ内は私の感想)

「問題を作った人には、答えが分かっている。必ず答えがあると保証された問題を解くのは、そこに見えている頂上へ向かって、ガイド付きの登山道をハイキングするようなものだよ。数学の真理は、道なき道の果てに、誰にも知られずそっと潜んでいる。しかもその場所は頂上とは限らない。切り立った崖の岩間かもしれないし、谷底かもしれない」

(この通りなら、高校や大学受験の数学など、まさしく、この会話の前者の通りで、こんなもので苦しんだり、ましてや人生が左右されるなんで、バカらしくなる。)

「数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んでくるのは、数学的なイメージだ。輪郭は抽象的でも、手触りは明確に感じ取れるイメージなんだ。それと似ているかもしれないね」
(こうなると、高校や大学受験の数学で「ひらめき」などと言っていることが、ちゃんちゃらおかしい)

「物質にも自然現象にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない」

読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(数学と野球に関しては人によるが、結構感動できる話ではある)

『キッチン』(吉本ばなな 著)

言わずと知れたロングべストセラーの作品

3編の短編小説からなり、いずれも、愛する人をなくし、孤独感、喪失感を感じながらも、次のステップに踏み出す主人公を描く。

美しい情景描写、心象描写があり、何度でも読み返してほしい作品。

実は、私自身、当時はベストセラーを積極的に読むという習慣はなく(ていうか今でもないが…)、今ごろになって読んでみました。今更ながら、ベストセラーになるのもうなづける作品でした。

読みやすさ(読みやすい)

感情移入度(主人公がいずれも年齢的に近いこともあり、はまれるかも)

2016年4月23日土曜日

ボトルネック(米澤穂信 著)

恋人を転落事故でなくした主人公が、その転落現場である東尋坊を弔いのため訪れる。そこで、自身も転落してしまうが、気づいたら、自宅の近くにいる。ところが、そこにはいるはずのない姉がいた。

金沢を舞台としていて、なじみ深く読めそう。小説だから当然であるが、会話が金沢弁でなく、標準語であることには少し違和感が…

読みやすさ(一気に読める)

感情移入度(中学生、高校生が主な登場人物で、はまれるが、後味は悪いかも・・・)

2016年4月20日水曜日

『塩狩峠』(三浦綾子 著)

まだ、キリスト教に対する偏見が残存していた明治初期に、士族の子として生まれた永野信夫が、実母がキリスト教信者であることに反発をしながら、父親の死、将来の婚約者となるふじ子との出会いなどを通じて、自己を犠牲にして人助けをするまでのクリスチャンになるまでの生涯を描いた作品。
読みやすさ(読みやすい)

感情移入度(少年期の描写は同感できることも多々あり。)

『精霊の守り人』(上橋菜穂子 著)

新ヨゴ皇国の第二皇子でありながら、父である帝に刺客を送られるチャグムと女用心棒バルサの冒険の物語。『指輪物語』のような小説、あるいは、RPGが好きな人なら、一気に読めるでしょう。現在(2016年3月)NHKでドラマ化されています。
読みやすさ(元は児童向けだけあって、読みやすい)

感情移入度(人によって、どっぷりはまれるかも)

2016年4月13日水曜日

『高校入試』(湊かなえ著)

当代きってのベストセラー作家である湊かなえによるテレビドラマ脚本を小説化したものです。高校入試という題材を登場人物のそれぞれの視点から描くという、湊かなえらしい小説です。高校生にとっては身近な話題であり読みやすいのですが、登場人物が多くて、最初は混乱しそう
。
文中の会話で「…この辺りじゃ、東大行くよりも一高なんだよ。地元一の進学校、一高に合格すれば万々歳。そのあと、東大行こうがプータローになろうが、関係ないの。…」というくだりは、某田舎県の進学校のことを指しているようでおかしい。それとも、田舎の高校はどこでもこんなものなのか?

また、「学歴自慢するのは、人生のピークがすでに終わってしまっているヤツ。今の人生に満足している人間は、過去の自慢なんてしない」いたって正論。

読みやすさ(読みやすい)

感情移入度(身近な話題だけに、どっぷりはまれるかも)

2016年3月20日日曜日

『ツナグ』(辻村深月 著)

映画化もされた小説。
一生に一度だけ、死者に会えるという、一見オカルトチックな話であるが、死者だからこそ、語れる真実に思わず感動するお話です。また、「失われた誰かの生は、何のためにあるのか。どうしようもなく、そこにある、逃れられない喪失を自分たちはどうすればいいいのか。」「残された者には他人の死を背負う義務もまたある。失われた人間を自分のために生かすことになっても、日常は流れるのだから仕方ない。」など「死」について深く考えさせられます。
読みやすさ(ふつうに読みやすい)

感情移入度(主人公が高校生ですっと入っていける)

2016年3月15日火曜日

『甲子園割れた日』(中村計 著)

郷土の英雄、松井秀喜が甲子園で5連続敬遠をされて、その相手チームの監督、選手や当時の星稜高校のチームメイトにも取材をして、いかに明徳義塾が「悪者」にされていったかを明かした本。

まだ、ネット社会でなかった時代のマスコミの世論形成の恐ろしさを垣間見る話でもある。

ただ、最後の解説で「星稜」の「稜」が「陵」になっていたのには、少しがっかり。

読みやすさ(野球好きには読みやすい)
感情移入度(これまた野球好きならはまれるけど、今の高校生には少ないかな?)

2016年3月10日木曜日

『流れ星が消えないうちに』(橋本紡著)

事故によって恋人を失った奈緒子とかつては恋のキューピッド役だった巧との恋愛と悲しみからの立ち直りの物語。

余談であるが、会話の中に「駄目だな、清原は。西武で甘やかされちゃったんだ。でもいい選手だよ。もうちょっと努力すれば、すごい選手になったね」とあって妙に納得。

また、印象に残った一節を書きとどめておく。
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも、これからはできるだけ動こうと思っている。たとえ状況自体は変わらなくても、見る目が…いや俺たち自身が変わるはずなんだ」「立っている場所を変えることによって、見えるものが違ってくる。そういうのが本当に大切なことだって、ようやく気づいたんだ。」

読みやすさ(読みやすい、一気に読める)

感情移入度(随所に高校時代の思い出が描かれていて、はまれる。ただ、フォークダンスのくだりは、今の子にはわからないかも・・・)

2016年3月5日土曜日

『陽だまりの彼女』越谷オサム著

映画化もされた小説。中学のクラスメイトに社会人になって再開し、恋愛も再開、駆け落ち同然の結婚、彼女の失踪と急速に展開していく話。肩の力を抜いて(というか余り入れ込まずに)、一気に読んでほしい小説です。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)

感情移入度(人によると思われる)

2016年2月25日木曜日

『受験脳の作り方』(池谷裕二著)

経験則で知っている勉強方法に科学的根拠を与えてくれる本です。ただ、効率的学習方法とうたってはいますが、結局は努力が必要なことには変わりはない。ようはその努力の方向性を教えてくれます。一流の研究者の書物にしては、とても読みやすく一気に読み通せる本です。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(?受験生ならうなずきながら読める)

2016年1月20日水曜日

『きみの友だち』(重松清)

小学生時に、交通事故で骨折し、友達も失った恵美が主人公。恵美が小学生から大学生になるまでに関わった人物を、それぞれ主人公にした短編を綴った連作長編。誰もが感じたであろう感情がちりばめられていて、思わず感涙・・・の作品でした。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(どっぷりはまれる)

難しい評論ばかり読ませず、これくらいの小説をしかも、小難しい設問など入れないで、個人が感じるままで鑑賞させたら、もっと国語好きもふえるかな?



2016年1月11日月曜日

『沈黙』(遠藤周作)

昭和を代表する作家である遠藤周作の代表作の一つです。
江戸時代、徳川政権下での禁教政策のもとで、転教を余儀なくされたかつての師であったフェレイラに会いに、ポルトガルから日本に来た若い司祭が主人公。一途な信仰心に、神は「救い」の手を差し伸べず、「沈黙」を続ける…。重い話ですが、読みにくいというよりは、読み応えのある話です。
今年映画化もされるようなので、ぜひ読んでほしい1冊です。

読みやすさ(ふつう)
感情移入度(個人差はあるが、日本史を習った人ならはまれるかも)