2016年5月2日月曜日

『博士の愛した数式』(小川洋子 著)

交通事故により記憶障害となった元数学研究家の「博士」と、家政婦とその息子の「ルート」との温かい交流を描いた作品。

会話の端々にでてくる数字にまつわる話は数学嫌いな高校生でもきっと興味深いと思われるが、もう一つ出てくるプロ野球(阪神)の話は今一つピンと来ない高校生も多いかもしれない。

第1回本屋大賞を受賞した作品で映画化もされている。

以下、いずれも「博士」の会話の中から、気になったフレーズを抜粋。(カッコ内は私の感想)

「問題を作った人には、答えが分かっている。必ず答えがあると保証された問題を解くのは、そこに見えている頂上へ向かって、ガイド付きの登山道をハイキングするようなものだよ。数学の真理は、道なき道の果てに、誰にも知られずそっと潜んでいる。しかもその場所は頂上とは限らない。切り立った崖の岩間かもしれないし、谷底かもしれない」

(この通りなら、高校や大学受験の数学など、まさしく、この会話の前者の通りで、こんなもので苦しんだり、ましてや人生が左右されるなんで、バカらしくなる。)

「数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んでくるのは、数学的なイメージだ。輪郭は抽象的でも、手触りは明確に感じ取れるイメージなんだ。それと似ているかもしれないね」
(こうなると、高校や大学受験の数学で「ひらめき」などと言っていることが、ちゃんちゃらおかしい)

「物質にも自然現象にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない」

読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(数学と野球に関しては人によるが、結構感動できる話ではある)

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