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2016年5月23日月曜日

『太陽の塔』(森見登美彦 著)

表題の「太陽の塔」は言うまでもなく、大阪にある「太陽の塔」である。しかし、物語の舞台はその近くにある大学ではなく、京都大学である。

その京大生の主人公が失恋して、立ち直る(あるいは開き直る?)までの話を、「街を怪物が闊歩している…クリスマスという怪物が…。」など、大げさな、けど知的な、時として笑えるような比喩で綴った小説である。

「京都の女子大生は京大生が奪って行く」という都市伝説に真剣に(?)取り組んだ作品とも言える。

読みやすさ(読みやすい。一気に読める)


感情移入度(多数の男子は感情移入ができる)

2016年5月18日水曜日

未来からきた本

なんと平成44年発行!それまで生きているだろうか?
天下の新潮文庫でもこんなことがあるんだ・・・

それはともかく、本の紹介。
『山月記・李陵』(中島敦 著)

中国の古典から題材をとった、4作品。有名な「山月記」や漢文で登場する司馬遷や孔子、子路などの人物像が浮かび上がるような作品もある。ただ、注釈が多く、漢文もたびたび出てきて、少々読みづらいかもしれない。けれど、退屈なわけでなく、深みのある作品ばかりである。

読みやすさ(読みにくい、なかなか進まない)
感情移入度(漢文でなじみのある人物の描写は多少興味深いかもしれない)




2016年5月2日月曜日

『博士の愛した数式』(小川洋子 著)

交通事故により記憶障害となった元数学研究家の「博士」と、家政婦とその息子の「ルート」との温かい交流を描いた作品。

会話の端々にでてくる数字にまつわる話は数学嫌いな高校生でもきっと興味深いと思われるが、もう一つ出てくるプロ野球(阪神)の話は今一つピンと来ない高校生も多いかもしれない。

第1回本屋大賞を受賞した作品で映画化もされている。

以下、いずれも「博士」の会話の中から、気になったフレーズを抜粋。(カッコ内は私の感想)

「問題を作った人には、答えが分かっている。必ず答えがあると保証された問題を解くのは、そこに見えている頂上へ向かって、ガイド付きの登山道をハイキングするようなものだよ。数学の真理は、道なき道の果てに、誰にも知られずそっと潜んでいる。しかもその場所は頂上とは限らない。切り立った崖の岩間かもしれないし、谷底かもしれない」

(この通りなら、高校や大学受験の数学など、まさしく、この会話の前者の通りで、こんなもので苦しんだり、ましてや人生が左右されるなんで、バカらしくなる。)

「数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んでくるのは、数学的なイメージだ。輪郭は抽象的でも、手触りは明確に感じ取れるイメージなんだ。それと似ているかもしれないね」
(こうなると、高校や大学受験の数学で「ひらめき」などと言っていることが、ちゃんちゃらおかしい)

「物質にも自然現象にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない」

読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(数学と野球に関しては人によるが、結構感動できる話ではある)

『キッチン』(吉本ばなな 著)

言わずと知れたロングべストセラーの作品

3編の短編小説からなり、いずれも、愛する人をなくし、孤独感、喪失感を感じながらも、次のステップに踏み出す主人公を描く。

美しい情景描写、心象描写があり、何度でも読み返してほしい作品。

実は、私自身、当時はベストセラーを積極的に読むという習慣はなく(ていうか今でもないが…)、今ごろになって読んでみました。今更ながら、ベストセラーになるのもうなづける作品でした。

読みやすさ(読みやすい)

感情移入度(主人公がいずれも年齢的に近いこともあり、はまれるかも)

2016年4月23日土曜日

ボトルネック(米澤穂信 著)

恋人を転落事故でなくした主人公が、その転落現場である東尋坊を弔いのため訪れる。そこで、自身も転落してしまうが、気づいたら、自宅の近くにいる。ところが、そこにはいるはずのない姉がいた。

金沢を舞台としていて、なじみ深く読めそう。小説だから当然であるが、会話が金沢弁でなく、標準語であることには少し違和感が…

読みやすさ(一気に読める)

感情移入度(中学生、高校生が主な登場人物で、はまれるが、後味は悪いかも・・・)

2016年4月20日水曜日

『塩狩峠』(三浦綾子 著)

まだ、キリスト教に対する偏見が残存していた明治初期に、士族の子として生まれた永野信夫が、実母がキリスト教信者であることに反発をしながら、父親の死、将来の婚約者となるふじ子との出会いなどを通じて、自己を犠牲にして人助けをするまでのクリスチャンになるまでの生涯を描いた作品。
読みやすさ(読みやすい)

感情移入度(少年期の描写は同感できることも多々あり。)

『精霊の守り人』(上橋菜穂子 著)

新ヨゴ皇国の第二皇子でありながら、父である帝に刺客を送られるチャグムと女用心棒バルサの冒険の物語。『指輪物語』のような小説、あるいは、RPGが好きな人なら、一気に読めるでしょう。現在(2016年3月)NHKでドラマ化されています。
読みやすさ(元は児童向けだけあって、読みやすい)

感情移入度(人によって、どっぷりはまれるかも)

2016年3月20日日曜日

『ツナグ』(辻村深月 著)

映画化もされた小説。
一生に一度だけ、死者に会えるという、一見オカルトチックな話であるが、死者だからこそ、語れる真実に思わず感動するお話です。また、「失われた誰かの生は、何のためにあるのか。どうしようもなく、そこにある、逃れられない喪失を自分たちはどうすればいいいのか。」「残された者には他人の死を背負う義務もまたある。失われた人間を自分のために生かすことになっても、日常は流れるのだから仕方ない。」など「死」について深く考えさせられます。
読みやすさ(ふつうに読みやすい)

感情移入度(主人公が高校生ですっと入っていける)

2016年3月15日火曜日

『甲子園割れた日』(中村計 著)

郷土の英雄、松井秀喜が甲子園で5連続敬遠をされて、その相手チームの監督、選手や当時の星稜高校のチームメイトにも取材をして、いかに明徳義塾が「悪者」にされていったかを明かした本。

まだ、ネット社会でなかった時代のマスコミの世論形成の恐ろしさを垣間見る話でもある。

ただ、最後の解説で「星稜」の「稜」が「陵」になっていたのには、少しがっかり。

読みやすさ(野球好きには読みやすい)
感情移入度(これまた野球好きならはまれるけど、今の高校生には少ないかな?)

2016年3月10日木曜日

『流れ星が消えないうちに』(橋本紡著)

事故によって恋人を失った奈緒子とかつては恋のキューピッド役だった巧との恋愛と悲しみからの立ち直りの物語。

余談であるが、会話の中に「駄目だな、清原は。西武で甘やかされちゃったんだ。でもいい選手だよ。もうちょっと努力すれば、すごい選手になったね」とあって妙に納得。

また、印象に残った一節を書きとどめておく。
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも、これからはできるだけ動こうと思っている。たとえ状況自体は変わらなくても、見る目が…いや俺たち自身が変わるはずなんだ」「立っている場所を変えることによって、見えるものが違ってくる。そういうのが本当に大切なことだって、ようやく気づいたんだ。」

読みやすさ(読みやすい、一気に読める)

感情移入度(随所に高校時代の思い出が描かれていて、はまれる。ただ、フォークダンスのくだりは、今の子にはわからないかも・・・)

2016年3月5日土曜日

『陽だまりの彼女』越谷オサム著

映画化もされた小説。中学のクラスメイトに社会人になって再開し、恋愛も再開、駆け落ち同然の結婚、彼女の失踪と急速に展開していく話。肩の力を抜いて(というか余り入れ込まずに)、一気に読んでほしい小説です。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)

感情移入度(人によると思われる)

2016年2月25日木曜日

『受験脳の作り方』(池谷裕二著)

経験則で知っている勉強方法に科学的根拠を与えてくれる本です。ただ、効率的学習方法とうたってはいますが、結局は努力が必要なことには変わりはない。ようはその努力の方向性を教えてくれます。一流の研究者の書物にしては、とても読みやすく一気に読み通せる本です。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(?受験生ならうなずきながら読める)

2016年1月20日水曜日

『きみの友だち』(重松清)

小学生時に、交通事故で骨折し、友達も失った恵美が主人公。恵美が小学生から大学生になるまでに関わった人物を、それぞれ主人公にした短編を綴った連作長編。誰もが感じたであろう感情がちりばめられていて、思わず感涙・・・の作品でした。
読みやすさ(読みやすい、一気に読める)
感情移入度(どっぷりはまれる)

難しい評論ばかり読ませず、これくらいの小説をしかも、小難しい設問など入れないで、個人が感じるままで鑑賞させたら、もっと国語好きもふえるかな?



2016年1月11日月曜日

『沈黙』(遠藤周作)

昭和を代表する作家である遠藤周作の代表作の一つです。
江戸時代、徳川政権下での禁教政策のもとで、転教を余儀なくされたかつての師であったフェレイラに会いに、ポルトガルから日本に来た若い司祭が主人公。一途な信仰心に、神は「救い」の手を差し伸べず、「沈黙」を続ける…。重い話ですが、読みにくいというよりは、読み応えのある話です。
今年映画化もされるようなので、ぜひ読んでほしい1冊です。

読みやすさ(ふつう)
感情移入度(個人差はあるが、日本史を習った人ならはまれるかも)

2015年12月18日金曜日

『向日葵の咲かない夏』(道尾秀介箸)

級友の首吊り死体を発見した主人公が、級友の生まれ変わりの蜘蛛(!)と、妹の「ミカ」とともに真相を探るミステリーというかミステリーホラー?
話の展開が早く、一転二転して、驚愕の結末へ。長い割には、一気に読み通せる小説です。

読みやすさ(かなり読みやすい)

感情移入度(人によっては受け付けないかも…)

2015年12月11日金曜日

『神様のボート』江國香織著


引っ越しを繰り返す、母子家庭の2人が主人公。それぞれの心情を、「神様のボート」「すぎたことはみんな箱のなかに入ってしまうから、絶対になくす心配はない」「一度出会ったら、人は人をうしなわない」「約束はね、それが口に出された瞬間に、もうかなえられているの」など、輝くような表現で綴られている作品。

作者自身が「狂気の物語」と記しているが、温かい気持ちで読める作品でした。
読みやすさ(かなり読みやすい)
感情移入度(はまれる)

2015年12月4日金曜日

『きことわ』 朝吹真理子 著

解体する別荘を舞台に、幼いときにこの別荘で過ごした二人
が再開する。思い出と現実が錯綜する文章。芥川賞受賞作で、
こういう小説が奥深いというのでしょうけど、少し読みにくい
かもしれません。

読後、ネットで検索してみると、芥川賞受賞時から賛否両論がある作品であったらしいことがわかった。

読みやすさ(少し読みにくい)

感情移入度(人によるかな?)





2015年11月23日月曜日

『黄色い目の魚』


みのりと悟という二人の高校生が主人公。はたから見れば、もどかしくなるような二人の恋愛に、大人になって失ってしまった感情を呼び起こしてくれる作品でした。
読みやすさ(読みやすいけど、長い)、感情移入度(どっぷりはまれる)

2015年11月14日土曜日

高校生に読んでほしい50冊

電子書籍の無料本の中から、偶然見つけたのが、「高校生に読んでほしい50冊」でした。

いつもは、こういう本の紹介は真に受けるほうではないのですが、どういうわけが、その日はとても素直に、そこに掲載されている本を買いに、本屋に直行。

早速読んでみると、なかなかおもしろい。読みやすい。さすが、新潮文庫。こういうのに、自分の高校時代に出会ったら、もっと違う高校時代になったのかな、なんてことも思ったりして・・・


で、せっかくなので、50冊を順次読んで、志向館の高校生にも紹介していこうと思う。

別に読んで、現代文の成績をあげてもらおうと、セコイ考えではなく、いい本に出会い、自分の心のこやしにしてくれたらと思いまして・・・

そして、このブログでも、随時紹介していこうかと。