2011年3月12日土曜日

どこよりも遅い石川県公立高校入試問題分析

大学入試の結果と重なって、ゆっくり検討できなかった(言い訳)公立高校入試問題の数学の分析をします。すでにたくさんの方が分析しているようなので、私は高校生専門塾である志向館の立場で、問題から高校入学後に期待される数学の能力という視点から分析していきたいと思う。
問題がわからないと読みにくいでしょうから、↓(リンクが切れていたらごめんなさい)

23年度石川県公立高校数学(中日新聞)

最初の1(1)は普通の計算問題、ただし、エの分数の文字計算は高校生でもよくミスをする問題。
1(2)の2次方程式は、有理数の範囲で因数分解できないもの。移行措置ででてくる解の公式を意識した問題であろう。やはり、高校以前に2次方程式の解の公式くらいは覚えておいてほしい。ただ、平方完成で求めさせる解法も高校に入ってからの2次関数では役立つのであるが・・・
1(3)は確率。高校では数Aで学ぶ。中学と違って、計算して求めることが多く、苦手とする人も少なくはない。この問題は組み合わせの知識があれば一瞬。
1(5)の円の問題は、高校では数Aの平面図形でもう一度扱う。円がらみの図形問題はセンター試験でも頻出。

2の2次関数は(1)は容易。(2)は普通に練習している人なら、1度ならず経験している問題であろう。(3)の円の外の点と円周上の点との最大距離は、高校では数Ⅱの図形と方程式で普通に出てくる問題。座標上で円を考えることも含め、完全に高校の範囲。もちろん、直感的にできる人もいるでしょうけど。なお、2次関数は高校では数Ⅰで出てくる内容で、高校数学の根幹をなす単元である。

3の規則性の問題は、いうまでもなく高校では数Bの数列である。等差数列の知識があれば、容易にできるのに・・・県教委発表の(2)の解法にそれを匂わせる解法があったが、一般には数字を並べてみて、文字で表すのであろう。具体的な数字から規則性をみつけ、文字で表すのが不得意な人は、高校の数列でもやはり苦労してしまう。また(2)に関しては、変形して正三角形にすれば瞬殺である。(数列とは関係ないが)


4の速さの問題も典型的で容易。ただし、方程式の文章題が苦手な人には5分差をどう表現するかで苦労するかもしれない。高校に入ると、こういう文章題は少なくなる。

5の作図は、近年まれにみる典型的問題。なお、角の2等分線の作図は数Bのベクトルの2等分線のベクトルと考え方は同じである。

6の立体図形。高校では数Ⅰの図形と計量、数Bのベクトル、数Ⅲの積分で扱う。空間の捉え方は大学入試でも重要である。(1)のねじれの位置ということばは高校では出てこなくなるが、ベクトルでの同一平面という考え方に密接に関係している。(2)は三平方の定理であるが、空間上で垂直を捉えることは、高校に入っても重要である。(3)のようなxの範囲によって変わるグラフは、数Ⅰの2次関数ででてから、高校数学のそこかしこで出てくるが、苦手とする高校生は多い。

7の図形と証明は、高校では数Aの平面図形で出てくる。(2)の辺の比は数Ⅰの図形と計量で出てくるサイン、コサインで重要。(3)の4点が同一円周上にあることを利用して角度を求めさせることは、高校でも度々でてくる。

こうしてみてくると、数学の問題は高校数学に密接に関係していて、これぐらいの問題はできていないと、3年後に難関大に合格しない、つまり上位進学校には来なくていいという問題なのでしょう。(もちろんそういう意図はないとは思いますが・・・)

ところで、この時期になると、予想が的中したとか、塾でやった問題が出ていたとか、広告やブログでよくみかけるが、そんなことに何の意味があるのだろうか?たかが、1問や2問的中したって、それだけでは合格できないわけで、それにあくまでも、「同じような」問題なのであって、できない子にしてみれば、やったことすら忘れていることも多く、それに気づくできる生徒なら、的中しなくてもできるわけで・・・大体がたいした範囲でもないのだから、1年も塾に通っていれば、やったことある問題がでるのも普通のことなのでは?それにだまされる方もだまされる方なのですがね・・・

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