2011年2月25日金曜日

『テレビの大罪』を読んで


著者は和田秀樹で、実はこの著者の名前われわれのような仕事をしていれば、とうぜん目に触れる機会も多く、本屋へ行けば、多数の著書もあるのですが、灘高卒、東大医学部卒という典型的なエリートコースを歩み、あまり普通の生徒には当てはまらないと勝手に思い込み、(もちろんやっかみ半分ですが・・・)これまでは全く読んではこなかったのです。ところが、たまたま本屋で見つけたこの本を立ち読みして、引き込まれるように立ち読みしてしまい、紹介する次第です。(あっ、もちろん購入しましたよ。)

前半は、医者としての立場から、テレビというのが、いかに人の健康、日本の医療制度に悪影響を与えているかを、歯に衣着せず述べており、それはそれは爽快です。

で、中盤に今度は教育評論家としての立場で、テレビが与える教育に対する悪影響を述べています。少し引用させてもらいます。

・・・学校教育から競争を排除しようとしたのは教育委員会かもしれませんが、バカでもいいから人気者であることのほうがいいという価値観を、子ども社会に刷り込んだ最大の責任者はテレビだからです。テレビドラマのひとつのパターンとして、「勉強ばっかりやっているやつはダサい」「勉強よりも人間愛」という価値観があります。「金八先生」から「ごくせん」にいたる、相当にメジャーな系譜です。同様の価値観は、バラエティー番組でも共有されています。
バラエティー番組では、元暴走族の役者や弁護士が出てきて「子どもの頃ちょっとワルだった奴の方が、人の気持ちがわかる」だとか「やんちゃしてたくらいの方が、世の中に出てから役に立つ」というようなことを言います。・・・

とあって、この後元不良の徹底的批判を述べています。さらに引用すると

・・・そもそも「詰め込み教育が創造性のない人間をつくる」という主張自体が大きな間違いなのです。そのことは、日本人ノーベル賞受賞者が2人の例外(この人たちも国立大学出身です)を除いてすべて旧帝大卒という、いわゆる学歴エリートであることからも明らかでしょう。ゆとり教育を推進したことで批判される元文部官僚の寺脇研氏も、ラ・サールから東大に進んだエリートです。・・・

激しく同意です。これからは、和田秀樹先生の本も読もうという、手の平返したような、個人的感想はともかくとして、これから受験を迎える高校生はもちろん、子どもの教育に迷いを感じている親御さんにも是非読んでいただきたい一冊です。

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